曲題目とは
曲題目とは字の通り南無妙法蓮華経のお題目に曲を付けたもので、日蓮大聖人の御書には「法華経の修行に広略要」とあります。「お題目を唱えることは要の中の要なり」と、唱題行を実践することが大事と説かれています。
昔は近隣の寺でも盛んに行われていたようですが、現在は当山のみに保存されています。
一部の曲目は消滅したとありますが、今でも門付や他、十二曲六辺がえしという歌題目が残っています。
太鼓をたたいたり、太鼓の縁を打ったりして曲を唱え調子を取るのを地取といいます。これに合わせて左手に平たいつづみ太鼓、右手に両端に房の付いたバチを持って、稚児が演ずるのを綾取り芸といいます。
片辺と双辺
芸には二通りあります。一本のバチで演ずるのを片辺、二本で演ずるのを双辺と呼んでいます。
曲目は
一、はやり
二、かすり
三、姉ヶ崎
四、念数切り
五、波寄り
六、波切り
七、松島
八、紺がすり
九、下總
十、上總
十一、通三辺
十二、数え唄(龍口法難が中心)
以上の十二曲の他に、門付六辺返しがあります。
バチのさばき方
バチのさばき方にも色々あります。
「みつべ」「からげて」「なげて」「ひらべ」「さげて」「ふたつべ」「内まわし」「外まわし」「きざんで」「かついで」「つくり返し」などです。この様な動作(バチサバキ)を合わせて演じます。一見同じように見えますが、二十四通の所作は全部異なります。
曲題目はお会式に奉納されます
曲題目はお会式に奉納されます。お会式当日は總世宅から万燈を先頭し、練り歩きお題目の合間に「通り三辺」を唱えながら山門まで来ます。
山門からは門付を唱え、本堂向拝前まで進み、住職の迎えを受けて、万燈供養をします。
本堂内に造られたヒナ壇に稚児が座り、曲題目を奉納します。
曲題目は口伝えに手伝えに今日まで伝承して来ましたが、一時消滅の一途をたどりました。
戦後、その焼失を惜しみ当時の青年会の事業のひとつとして保存に努め、経験者を師匠として稽古に励み復活し、昭和三十年に録音され曲のみは保存されました。
平成三年には県指定無形民俗文化財の指定を受けました。しかし、時代の移り変わりと共に後継者の育成も大変になっています。
当山に於いては住職を中心に保存会を結成しました。
現在第二代目会長を中心に会員一同努力、精進し、維持に努めています。